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#1: A Day in the Life of Panasonic - Songs from Panasonic |
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7:45、寮を飛び出した僕は、いつものようにイヤホンのボリュームをあげた。 自転車通勤、そのうえ上海並みの最悪の交通マナーが幅をきかせるこの街で、危険なことは承知している。 けれど、そうしなければ、そうしなければ、寮から会社まで延々と1.5キロに渡って 続く川沿いの工場の列、その殺伐とした風景をやり過ごせないような気がしていた。 今にも泣き出しそうな空の色が、誰にも顧みられない廃材の山が、年月にひび割れた倉庫の壁が、僕をどうしようもなくせつなくさせる。 「このままでいいのか・・・」僕は渋滞の列を血走った心で走り抜けながら、何度も何度も問いかけてみる。 大学4年の春、就職試験のため初めてこの街を訪れたときも、僕の目に写ったのは同じ風景だった。落ち着くということの意味を知らず、ただ幻の新天地(ニュー・フロンテイア)を求めて、ただやみくもに遠くを目指していたあの頃の僕は、町工場と雑居ビルの列の中から、自分を待ってる未来を必死に見いだそうとしてた。あの日見た日本海側特有のどんよりした気候のせいで、僕にはこの街に対するモノクロームの第一印象が焼きついていた。 あれから一年。全くのSTRANGERだった僕も、沢山の友達ができ、街の地理にも相当詳しくなった。天神・中州のにぎわい、大濠公園の穏やかなたたずまい、玄海灘の荒ぶる波のきらめき、大宰府のたおやかな梅の花、この街の書き尽くせないほどの魅力全てが22年の東京暮らしに退屈した僕の気分をまぎらせてくれた。 でも寮と会社を振り子みたいに行ったり来たりするWEEKDAYSだけは、いまもモノクロームのままだ。押し寄せる国際電話とFAXの嵐、苛立ちとあせりに満ちた時間の中で、あるべき姿も進むべき道もかすんでしまいそうだ。 決して現状を肯定はしていない。しかしアンチテーゼを描く力も持てずにいる。「このままでいいのか・・・」と問う毎日に答えを投げつけることもできぬまま、いつもと同じ Panasonicの一日が始まる。 |
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