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#3: The Salvation Army - Rehearsal for the 21st Century

 

愛の光が 僕らを照らす
目覚めの時が 来ようとしてる
希望もたらす 風に吹かれて
歩きはじめる 時が来ている

自由なくして 悩みつづけた
悲しい日々も もうすぐ終わる
無限の夢を 秘めた大空
その青さに かけて誓おう

僕らの明日は 僕ら自身の
力で美しく つくりあげてみせると


革命の灯が 僕等を照らす
その輝きを 信じれていれば
恐れるものは 何も無いはず
迷うことなど 決してないはず

自由めざして ともに戦う
君の胸には 一輪の薔薇
無限の夢を 秘めた花びら
その紅さに かけて誓おう

僕らの明日は 僕ら自身の
力で美しく つくりあげてみせると

(「庭球場の誓い」 * Morihiro 1986)

ふたりで友人の結婚式に出席するため東京に行った、とある秋の日、僕は彼女がかつて仕事をしていた、中野区の救世軍ブース記念病院をはじめて訪れた。
彼女のもと直属上司である主任さんは、新築ではあるが1DKのつつましい宿舎で、休日だというのにきちんとした軍服姿で迎えてくれた。
「あの人はどうして休みなのにあんな堅苦しい格好しているのさ?」
宿舎を出てから僕が思わず問うと、彼女は言った。
「あの人は、『士官』なのよ!」
その言葉を聞き、そしてチャペルの屋根の向こうに、新宿の高層ビルを見たとき、僕はとてつもない錯覚を見ているような気がした。

物質文明を代表するこの東京という街のどまんなかに、それとはまったく違う価値観のもとに生きる人々の群れがある。
彼女は一般職員として普通の給料をもらって勤めていたが、中には、救世軍という慈善団体の「士官」として志願し、つつましやかな衣食住は終身保障されるとはいえ、わずかなこづかい以外は給料を受け取ることも無く、一生を奉仕活動に捧げる人もいる。まさにそれは、現代の修道院といってもよいだろう。そして、病院自体も治療費を払える見込みも無い行き倒れの患者を進んで受け入れる、「貧しいもののうちのもっとも貧しいもののために尽くす」ことを信条とする組織なのだ。

高層ビルとチャペルの十字架を交互に見上げながら、僕は電車で5分の距離に同居するバビロンとエルサレムの不思議に、少しだけとまどっていた。ただ、僕はこの日確かに、今まで知らなかった、この街のもう一つの美しい顔を、見つけることができたんだと思う。


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