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#1: Double Rainbow - Rehearsal for the 21st Century

夏の日差しに 身をゆだねるとき
ふとよみがえる 遠い日の記憶
幼い頃の 甘い想い出に
刻みこまれた あの空の青さ

失われた時を求めて
今こころの 旅が始まる


虹の向こうに あると信じてた
見知らぬ世界 はるかなあこがれ
夕焼けの空 きらめく葉緑
潮の香りを 運ぶ南風

失われた夢を求めて
今こころの 旅が始まる

失われた時を求めて
今こころの 旅が始まる


(「失われた時を求めて * Morihiro 1986)

新潟空港のレストラン、30歳の誕生日を迎えた盆休み、僕は彼女とふたりで帰りの飛行機を待っていた。窓の外180度広がる滑走路と海の上、空の色はゆっくりと青から赤へ無段階に移ろっていく。
彼女が生まれた福島県の山里から、高速バスで一面の青い稲穂の絨毯の上を驀進してきた時、その風景がかつて旅したオーストラリアの草原のハイウエイとわずかにオーバーラップした。思い出をたどれば、無限の時間が過ぎたような気がするこの人生。今、ひとつの節目と呼べる時かもしれないけれど、その感慨は思ったよりも平凡でさりげない。

西日を照りかえして東の空にかかる虹を見ていた彼女が言った。
「ほら、虹が二重になっている!」
「どこ、どこ、みえないよ!」
「どこみてんのよ、あそこ」
「あ、本当だ!」

でっかい虹の円の外側、さらにでっかい虹が薄くだけれど円を描いている。
「ダブルレインボウを見ると、とてもいいことがあるんだよね」
どうして彼女がそんなことを言うのかな?と一瞬思った。そういえば、むかしイギリスのM1のドライブインで、今日と同じような二重の虹をふたりで見たとき、僕が彼女にそう言ったのを覚えていてくれたのかもしれない。

次の便で福岡に帰れば、ふたりを待っているのはありふれた暮らしだけれど、日本海に咲いた夕暮れの虹は、僕たちにとっては素敵な贈り物だった。もっとも、僕は虹が嬉しかったというよりは、虹のおかげで彼女が上機嫌になったことの方が嬉しかったのかもしれないけれど・・・


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