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Summer, Watarase Valley |
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震える 手のひら 広げて笑う 「あの頃 ぼくらは」 が口癖で 「飲むな」と 医者には 言われるけれど 命を 惜しむ歳でもない 足尾の町から 通洞あたり ひとやま あてると 夢見た道 夕立ち ぬらした 草むらの陰 ものさえ かたらぬ 工場の跡 この山を枯らすことに 手を染めた 彼を今さらせめないけれど 昨日は昨日 今日は今日 そして明日は明日 そして明日は明日 はた織り 教える セピアの写真 嫁入り支度に 磨いた腕 今では 教わる 人もなくて 回らぬ 糸車 泣いている 「シャッターおろして もう10年」と 店先 がらくた 片付けもせず 人影 とだえた 街道筋 日差しに ふりそそぐ せみしぐれ 年老いた彼女に変わることを 強いるつもりはもうないけれど 昨日は昨日 今日は今日 そして明日は明日 そして明日は明日 |
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