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#1: Goodbye Small Town


もう若さとは 呼べなくても
夢の行方 忘れていない
ためらいと 退屈を もてあますようなMy Life
冷えてく この胸に もう一度 歌を聴かせたい

Goodbye Small Town 何かを捨てて
未来の地図は 初めて見えるのさ
Goodbye Small Town 別れを決めて
今気づいたよ いつだって「ふるさと」さ I call you my hometown

(「Goodbye Small Town」 * Morihiro 2004)

夏の日。
引越し屋のトラックが去り、あっというまにがらんどうになったアパートの部屋の真ん中で、僕は、「どうして幕引きとはいつもこんなにもあっけないものなのだろう」と、考えていた。
夕べ、彼女とふたりで、近くの那珂川の河原で、夜の闇の中、花束を川に流して、8年間の福岡での暮らしにさよならを告げた。この年月は、僕のわがままに過ぎなかったのか、それとも、住み慣れた土地を離れて過ごした彼女の人生にとってもそれなりの意味を持つ時間になってくれたのか、それを問う勇気さえ、僕は持っていなかったけれど。

その後しばらくして、久しぶりに訪れた駒場。冬の短い日はとっくに暮れている。「まるか」でラーメンを食べて人心ついたあと、キャンパスをめぐる。僕は銀杏並木の果てにある2号館を中庭から見上げながら、まだ、「IT革命」という言葉さえなかった時代、インターネットの商業利用も、WINDOWS3.1も存在しなかった時代に、図書館の486DXのパソコンと向き合いながら、必死に未来を探ろうとしていたあの頃の自分の幻を探していた。
たった8年間の時を経て、ここにこんなふうに戻ってくるなんて、決して想像していなかった、と思う。その見こみ違いは、やはり後悔と呼ぶべきだろうか。しかし、もし、時計の針を元に戻せるとしたら、僕は本当にこの8年間の出会いを全てなかったことにしてでも、この場所から時をやり直したいと思うのだろうか。
いずれにしても、その想像は仮定でしかなく、過去とは常に既定の事実であり、その意味では、僕にできることは、未来への前進のみなのだろう。もう、心の中で幾度も繰り返したことだけれど、いつもたどりつく結論は、ここでしかない。



P.S.
その後、僕が若き日を過ごした、かつて「KME」と呼ばれていた会社は、再編で、「PCC」と名を変え、事業構造も変革し今までとは違う形での再生の道を歩んでいる。上場廃止で業績は伝わってこなくなってしまったが、街角の電気店で見かける限り、元気でやっているようだ。多くのなつかしい面々が去っていったが、今は、残った仲間たちの健闘を祈りたい。
 


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